もともと空き地だったこの土地は、道行く人にゴミ箱扱いされてきたようで、ゴミがたくさん出てくる。空き缶、空き瓶、ペットボトル、お菓子のカラ、粉々になったビニール、錆びた物干し竿、肥料袋、ネット、ポリ紐、手袋、変色した乾電池、使い捨てライター、タバコの吸殻、タバコの空き箱、バスマット、割れた植木鉢など、ちょっとびっくりするほどだった。持ってきたMサイズのゴミ袋はたちまち2袋満タンになった。自転車なども出てきたと、前に管理人さんにきいた。
農園のまわりの畑でない場所は普段、枯れ草で土の表面が覆われている。枯れ草の上に見えていた犬のフンやゴミを片付けた。花でも植えたら、きっとポイ捨ても少しは減るかな、と、管理人さんに許可をもらった場所に花を植えることにした。
花を植えるために、枯れ草をめくってみると、またゴミが積もっていた。枯れ草をめくったときに、すぐ下にあったフンに気づかずに触ってしまい、ぎゃーっと大声をあげて軍手を捨てた。犬のフンも古いのから新しいのまでいっぱいあった。植え穴を開けようと、土をほると、またゴミが出てくる。プラスチックゴミは土に還らないはずだけど、土の中で何年も経ったようなのは、粉々になって、風化寸前に見えた。こんなのが土に還ってしまったら、有害物質が溶け込んでしまうんじゃないの、いや、その前に、虫とか微生物はこんなの食べてしまっているの?と心配になった。怒っても仕方ないと思いつつ、やっぱり腹が立ってくる。バレなきゃそれでいいのか。
運営会社のほうで植えてくれていたパンジーで元気がないのがあったので、ちょっと掘り返してみたら、根っこがあんまり伸びていなかった。掘った穴を見ると、やっぱりポリ袋などがのぞいている。ゴミを取り除き、「こんなところに根っこなんて伸ばしたくなかったよね、ゴメンゴメン」とパンジーをなだめて、もとの場所にもう一度植えた。
畑がいくらいい土でも、畑のまわりにあんなにゴミやフンがあったら、農園全体の生き物たちはバランスを保てないと思う。気分も悪い。畑と畑じゃないところはネットで区切られていて、別々に見えるけれど、空気も土もつながっている。病気や虫が出たら、有機の薬で退治すればいいとか、虫よけになるものを置けばいいとか、いろいろ情報はあるけれど、農園全体の環境をできるだけ自然な状態に戻すのがいちばん大切なことだと思った。
ちょっとずつ花を植え、だんだん賑やかになってきた。うちのベランダで虫に食べられた鉢植えの花(写真の左下のちっちゃいの)も、根っこが生きていたらしく、鉢の中でまた芽を出してくれていた。地植えしたら、だんだん大きくなってきてうれしい。出入り口のある門の前の段差を平らにならして、門の両脇につる性のジャスミンを植えた。あったかくなったらネットをつたって大きくなって、出入りのたびに甘い香りをさせてくれると思う。