福岡正信さんには、農法だけでなく思想にも大きな影響を受けた。福岡さんが考案した粘土団子について本で読んだときから、この小さな畑でもやってみたいと思っていた。材料がそろい、やっと実行に移すことができた。
粘土団子は、複数の種類の種子を混ぜ、赤土など粘土質の土と混ぜて水を加え、団子状にして畑にまくというもの。そうすれば、環境と時期にあった種が自然に発芽する。この方法ならば、ある場所に育つ野菜の種類を決めるのは、人間ではなく自然だ。また、豆類などそのまままくと鳥に食べられやすいものは、粘土団子にして播いておけば、発芽まで食べられることはないという。
この粘土団子は、アフリカなど、世界の砂漠で緑化にも活用されているそうだ。混ぜる種の種類は多ければ多いほどよく、100種類以上と本には書かれていた。1つの団子に入るタネの種類は2-3種類が望ましいという。作り方は、『無-3(自然農法)』に書いてあった。
今回は、赤土が手に入らなかったので、赤玉土を網に通して粉にしたものを代用したが、粘土質が弱かったせいか、乾燥してから割れてしまった。田んぼなどから赤土が入手できない場合、木節粘土という陶芸などに使われる土がよいらしいということが後でわかった。
粘土団子に入れる種。在来種の豆は食用から種用に残しておいたものを様々混ぜた。入れた種は:トウガラシ、バジル、つるなしいんげんミックス、ゼファフィノフェンネル、レモンバーム、クローバー、岡ひじき、金ゴマ、黒ゴマ、滝の川ごぼう、丸ズッキーニ、長ナス(ジャパニーズピクリング)、カリフォルニアワンダーピーマン、チャドリックチェリートマト、コールラビアズールスター、セージ、カレンデュラ、ナスタチウム、空芯菜、不断草、モロヘイヤ、大葉ニラ、大葉、時なし大根、ルッコラ、本紅金時人参、旭大和西瓜、黒千石大豆、間作大豆、フクユタカ(大豆)、くらかけ豆、金時豆、十六ささげ、鞍掛豆、黒インゲン、青大豆
粘土団子を丸めているところ。並べて乾かし、乾いてきたものからもう一度てのひらで転がして表面をつるつるに磨く。
完全に乾く前の粘土団子。上が丸めただけのもの、下が丸めた後、表面を磨いたもの。
翌朝、悲しいことに粘土団子が割れていた。原因は、赤土の粘土質が低かったためにうまくかたまらなかったことと、豆が水分を吸って膨張したこと。インターネットで調べると、豆は団子に入れる前に、水に浸しておくとよい、と言う人もいたが、福岡さんは特に何も言っていなかったので、何がベストかはわからない。割れたものはもう一度団子にし直すことになった。
一つの団子に入る種の数のコントロールは思った以上に難しく、割れてみると、かなりの種類が一つの団子に入っていた。豆が2つ以上入っているものもあった。種の生命力はなかなかのもので、もう根らしき白いものが出ている団子もあった。